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AI導入 約8分で読めます

生成AIの社内勉強会のやり方。90分カリキュラムを時間配分から想定問答まで公開する

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倉敷・岡山でAI業務効率化とWeb/LP制作を支援

「うちもそろそろ生成AIを」という話が出たとき、勉強会の係はたいてい、言い出した人に回ってきます。資料を作って、会議室でスライドを1時間。その日は「便利そうだね」と盛り上がって、翌週には誰も使っていない。社内のAI勉強会で、いちばん多い結末だと思います。

僕は倉敷・岡山で企業向けのAI研修をやっていて、いまは経営者向けの勉強会も準備しています。カリキュラムを組むとき最初に考えたのが、この「翌週には誰も使っていない」をどう防ぐかでした。この記事では、僕が実際に設計した90分カリキュラムを、時間配分から想定問答まで開いて書きます。社内で勉強会の係になった人が、そのまま使える形にしました。

勉強会が「聞いて終わり」になる理由

機能紹介の説明を聞いた参加者は、感心したまま帰ります。翌日、自分の仕事のどこに使えばいいのかが分からない。パーソル総合研究所の調査(2025年10月・正規雇用者3,000名)で、生成AIを業務で使わない人の理由の上位は「使い方がわからない」「どのような業務で使えるのかイメージできない」でした※1。スライドの機能紹介は、この2つに答えません。

企業側の調査でも同じ構図が出ています。帝国データバンクの調査(4,705社回答)で、生成AI活用の課題の1位は「AI運用の人材・ノウハウ不足」で54.1%※2。研修慣れした大企業ですら、生成AI研修の責任者の33.6%が自社の研修は期待した成果を発揮していないと答えています※3

原因はゴール設定にあると僕は考えています。ゴールを「知ってもらうこと」に置くと、中身は自然と機能紹介になります。ゴールを終わったときの状態で決めて、そこから逆算して中身を組む。設計はここから始まります。

ゴールは「帰るとき、全員のパソコンでAIが動いている」

僕のカリキュラムでは、冒頭でこう宣言することにしています。

「今日は、聞く会ではありません。手を動かす会です。90分後、みなさんのパソコンでAIが実際に動いていて、自分の仕事をひとつ任せた状態で帰ってもらいます」

この宣言には運営ルールがセットです。途中で誰かが詰まったら、全員が動くまで先に進まない。進行が遅れても、この順番は崩しません。1人でも「自分のパソコンでは動かなかった」まま帰ると、その人はたぶん二度と触らないからです。

90分カリキュラムの中身と時間配分

5つのブロックで組んでいます。時間配分は目安です。90分のうち55分は、参加者が手を動かす時間に割いています。

90分のうち55分は、手を動かす時間

①ゴール共有10分

②座学(2種類のAI)15分

③ワーク1:AIを起動30分

④ワーク2:仕事を渡す25分

⑤安全と料金10分

※ 緑がワーク(手を動かす時間)=計55分

ブロック 時間 やること
① ゴール共有 10分 「聞く会ではない」宣言と、当日のルールの共有
② 「答えるAI」と「働くAI」の違い 15分 唯一の座学。チャット型とエージェント型の違い
③ ワーク1:全員のパソコンでAIを起動する 30分 セットアップ。全員が動くまで先に進まない
④ ワーク2:自分の仕事をひとつAIに渡す 25分 持ち寄った実業務を、指示文の型に沿って任せる
⑤ 安全に使う約束と、料金の話 10分 続けるための3つの約束と、正直な費用の話

※ 表は横にスクロールできます

筆者が設計した経営者向け勉強会のカリキュラム(2026年7月時点・準備中)より。

①ゴール共有(10分)

さっきの宣言をここでやります。あわせて「分からなくなったら手を挙げてください。全員が動くまで進みません」と伝えておきます。ハンズオンの脱落は、手が止まったことを言い出せないところから始まるので、先に言い出しやすくしておくわけです。

②「答えるAI」と「働くAI」の違い(15分)

座学はここだけです。ChatGPTに代表されるチャット型は、質問に文章で答えます。それを表にまとめ直したり、ファイルに反映したりする作業は人の手に残ります。エージェント型は、ファイルを読んで、作って、直すところまで自分で動いて、最後に人がOKを出します。僕の勉強会では、このエージェント型として Claude Code を使います(モデルは Claude Opus 4.8)。

座学で見せるのは、この違いだけ

答えるAI(チャット型)

質問に、文章で答える

表への転記やファイル反映は人の手に残る

働くAI(エージェント型)

読んで、作って、直すまで動く

最後に人がOKを出す。勉強会はこちらを使う

この違いを先に見せておくと、後半のワークで「なぜチャット画面を開かないのか」という混乱が消えます。ここを飛ばすと、参加者の頭の中のAIがチャットのまま進むので、ワークの意味が半分伝わりません。

③ワーク1:全員のパソコンでAIを起動する(30分)

いちばん時間を取るブロックです。やること自体は少なくて、ターミナル(WindowsならPowerShell)を開いて、配布資料のインストール用コマンドを1行貼り付けて、Enter。それだけです。

落とし穴が1つあります。Claude Code の初回ログインで認証方法の選択肢が出るのですが、ここでConsoleアカウント側を選ぶと、月額プランと別に従量課金が発生します。僕のカリキュラムでは、ここを「今日いちばんの落とし穴」としてスライドを1枚割き、全員そろって画面を確認してから進む段取りにしています。

セットアップは参加者の環境差がそのまま出ます。30分は長く見えますが、ここで貯金を作っておくと後半が安定します。

④ワーク2:自分の仕事をひとつAIに渡す(25分)

事前の案内に「一番面倒な業務の材料を、ひとつ持ってきてください」と書いておきます。よその会社のデモは、感心はしても自分ごとになりません。自分の見積書や日報が目の前で処理されて、はじめて当事者になります。ここが勉強会の本番です。

指示の書き方は型で渡します。素材(AIに渡すもの)、作業(してほしいこと)、形(仕上がりの指定)、注意(守ってほしいこと)。この4つを埋めれば指示文になります。プログラミングの文法は出てきません。ぜんぶ日本語の文章です。

指示文の型。4つを埋めるだけ

素材

AIに渡すもの

作業

してほしいこと

仕上がりの指定

注意

守ってほしいこと

⑤安全に使う約束と、料金の話(10分)

最後に、続けるための話をします。安全面は3つの約束に絞ります。お客様の個人情報や取引先の機密は入れない。AIの出力は確認してから使う。AIがファイル操作の許可を求めてきたら、内容を見てから許可する。この3つを守れば、日常業務で使うぶんには安心して回せます。

料金も正直に伝えます。この内容を続けるには月20ドル(3千円ちょっと)の有料プランが必要です(2026年7月時点)。無料でできる範囲と分けて、判断材料として渡して締めます。

当日を左右する4つの準備

カリキュラムの外側にも、当日を左右する準備があります。

  • 会場のWi-Fi。セットアップのブロックは全員が同時に通信します。ここが弱いと計画ごと崩れるので、テザリングの予備線も考えておきます
  • パソコン持参の徹底。当日スマホしか持っていない人は、ワークに参加できません
  • 有料プランの扱い。事前に契約してきてもらうか、当日その場でやるかを決めて案内に書いておきます
  • 定員。詰まった人を全員拾う設計なので、進行役1人で見られる人数には上限があります。僕は7〜8社に絞るつもりでいます

参加者から必ず出る質問

この手の勉強会で聞かれることは、だいたい決まっています。その場で即答できると空気が変わるので、想定問答も一緒に用意しておいてください。

参加者にプログラミングの知識は要りますか?
要りません。指示は日本語の文章で書きます。必要なのは文字入力だけです。
英語ができない社員でも参加できますか?
できます。日本語で指示して、日本語で返ってきます。
ベテラン社員には難しくないですか?
むしろ逆です。仕事の段取りを知っている人ほど、具体的でいい指示が書けます。経験の長さがそのまま強みになります。
スマホだけでも参加できますか?
チャット型のAIはスマホでも使えますが、エージェント型のワークにはパソコンが必要です。案内状に「パソコン持参」と大きく書いてください。
社内勉強会に助成金は使えますか?
単発の勉強会は対象になりません。国の人材開発支援助成金は合計10時間以上のOFF-JT訓練が要件です。振り返り回まで含めた10時間以上のカリキュラムに組み直すと対象になり得ます。

社内でやるか、講師を呼ぶか

ここまでのカリキュラムは、社内に条件がそろえばそのまま使えます。条件は2つです。AIを日常的に使っている人が社内に1人いること。その人が準備の時間を取れること。両方そろうなら、この記事を渡して社内でやるのが一番安上がりです。

準備できる人がいない場合や、部署単位でまとめて底上げしたい場合は、講師を呼ぶ選択肢があります。僕は倉敷・岡山で、この設計そのままの少人数ハンズオン研修をやっています。御社への訪問(倉敷・岡山近郊)でもオンライン(全国)でも実施できます。中身は AI研修・セミナーのページ に書いています。

費用面の補足を2つ。単発の勉強会は国の助成金の対象になりませんが、振り返り回まで含めた合計10時間以上のカリキュラムに組むと、人材開発支援助成金の対象になり得ます。要件と落とし穴は 助成金の記事 に書きました。また、勉強会のあと社内に推進役が育つかどうかで次の一手は変わります。研修で底上げするか、顧問と伴走するかの判断は 研修と顧問の比較記事 にまとめています。研修会社を比較したい場合は AI研修の選び方 をどうぞ。

勉強会の成果は、話のうまさより、帰るときの状態で決まります。スライドを磨く時間があったら、その時間で「全員のパソコンで動くところまで」の段取りを設計してみてください。

出典(2026年7月19日閲覧)

  1. ※1 パーソル総合研究所「生成AIとはたらき方に関する実態調査」(2025年10月・正規雇用者3,000名):https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/generative-ai/
  2. ※2 帝国データバンク「生成AIの活用に関する企業アンケート」(2024年6〜7月・有効回答4,705社):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000909.000043465.html
  3. ※3 ITmedia「イー・コミュニケーションズ調査」(2026年6月・従業員1,000人以上企業の生成AI研修責任者110名):https://kn.itmedia.co.jp/kn/articles/2606/25/news046.html

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